平成30年9月号
人事労務便り 社労士 永由三代子
最低賃金が3年連続で3%増加へ
◆政策通りの引上げに
厚生労働省の中央最低賃金審議会は、今年(平成30年)度の地域別最低賃金額改定の目安を公表しました。
今年度の引上げ額の全国加重平均は26円(昨年度25円)、改定額の全国加重平均額は目安通りに上がれば874円(同848円)となります。また、引上げ率は3.1%で、3年連続3%以上の引上げを確保し、政府が昨年策定した「働き方改革実行計画」に沿う形になります。
長野県は821円になる予定です。10月1日から適用になります。
労働時間の把握、来春より管理職にも
義務化
◆労働時間の記録と保存
来年4月から、いわゆる「管理職」の労働時間把握と、その記録の保存が企業に義務づけられると報道されました(日経新聞7月31日付)。現状でも、企業はタイムカードやパソコンなど「客観的な方法」により労働者の労働時間を記録し、3年間分保存しなければなりません(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」)。この範囲に、新たに管理職も含まれるとのことです(取締役ら経営陣は対象外)。
◆労基法の管理監督者
労働基準法の「管理監督者」は、労働時間や休日の規定の対象外とされています(ただし深夜割増賃金の支給や年次有給休暇の付与は必要)。管理監督者は、経営に参画する立場として、自らの労働時間に一定の裁量があるためです。そのため、管理監督者の労働時間の把握や保存の義務はありませんし、それゆえ現状で管理監督者の労働時間管理はなおざりという企業もあるでしょう。
◆管理職の過重労働にも注意
条文等で明らかでない詳細については、今後の政省令等を待つことになりますが、さしあたり企業の実務上、現在一般社員が行っている出退勤記録と同じことを、管理職にも徹底させる必要がありそうです。
昨年は、大手電力会社の課長職の過労自殺や、ドーナツのフランチャイズ店の店長(「名ばかり管理職」と批判されました)の過労自殺など、管理職の過重労働に関する報道も少なからずありました。
一般従業員だけでなく、管理職の過重労働にも注意していきましょう。
9月分から社会保険料の標準報酬ランク見直しを
◆日本年金機構より標準報酬決定通知書が届いていることと思います。9月分社会保険料(
10月支給の給与)より決定した標準報酬により給与より天引きします。厚生年金保険料の料率は昨年と変更はありません。
~働き方改革の目指すもの~ 厚生労働省HPより
◆「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの課題解決のため多様な働き方を選択できる社会、働く一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指す。
働き方改革関連法案で可決された施行内容は
働き方・休み方改善ポータルサイト
参考 work-holiday.mhlw.go.jp/